南米大陸の西側に位置するペルーは、マチュピチュやナスカの地上絵など、世界遺産を有する人気の観光地ですが、世界有数のコーヒー生産国でもあります。
そんなペルー産コーヒーの魅力はなんといってもそのマイルドで飲みやすい味わいです。酸味と苦味のバランスがよく、初心者からコーヒー通まで幅広い層から愛されています。
政府主導の持続可能な農業プロジェクトにより、さらに注目が集まったペルー産コーヒーの魅力に迫りたいと思います。
正式名称 | ペルー共和国 |
首都 | リマ 人口約1,000万人を抱える大都市 |
建国日 | 1821年7月28日(独立宣言を行った日) |
面積 | 1,285,216㎢ 日本の3.4倍で南米大陸では第4位の広さ |
公用語 | スペイン語 |
人口 | 約3,372万人(2023年) 南米大陸では第5位 |
主要産業 | 鉱業・製造業・農業・観光業 農業ではコーヒーの他にカカオ、綿花が盛ん |
南米大陸の西側に位置するペルーは、コーヒー生産量世界第8位の産地です。
2021年の年間生産量は36万トンで、世界の総生産量の3.7%を占めています。
ペルー国内の全25県中15県でコーヒー豆が生産されています。
これらの3県は、いずれも標高1,500-2,000mの高地に位置しており、豊富な湧水と寒暖の差が激しい気候が、良質なコーヒー豆の栽培に適しています。
コーヒー関係の従事者
ペルーのコーヒー農家は全国で22万世帯で、そのほとんどが家族経営の小規模農場です。
小規模農家は、伝統的な栽培方法でコーヒー豆を栽培しており、その品質の高さが評価されています。
ペルー産コーヒーは、マイルドで飲みやすい味わいが特徴で、近年スペシャルティコーヒーとして世界的に注目を集めています。
主な品種はアラビカ種のティピカ、ブルボン、カトゥーラ、カトゥアイです。
加工方法
ペルー産珈琲の加工方法はナチュラルとウォッシュドの2種類。
- ナチュラルはコーヒーチェリーを乾燥させて果肉を取り除く方法で、果実の風味や甘味が強く酸味が穏やかです。
- ウォッシュドはコーヒーチェリーを水洗いして果肉を取り除く方法で、酸味が強く、透明感のある味わいが特徴です。
ペルーのコーヒーの歴史は19世紀初頭に遡ります。
当時、スペインからの移民によって、アジアからコーヒー植物が移入されました。
しかし、内戦や政治的な混乱により、コーヒー産業は停滞。
20世紀に入り、ペルーのコーヒー産業は急速に成長しますが、その背景には以下の3つの要因が挙げられます。
- 内戦政治的な混乱の終結
- コーヒーの国際市場価格の上昇
- コーヒーの品質上昇
内戦や政治的な混乱の終結により、コーヒー農家は安定した生産環境のもとでコーヒーの栽培に集中できる様になりました。
また、コーヒーの国際市場価格の上昇により、コーヒー農家は高い収益を得ることができる様になりました。
さらに、コーヒーの品質向上のための研究や技術開発が進められ、ペルー産コーヒーの品質は世界的に高く評価される様になりました。
ペルー政府は、2000年代に入り持続可能な農業プログラムを導入しました。
このプログラムでは、コーヒー農家への技術指導や環境に配慮した栽培方法の普及などが行われています。
これにより、ペルー産コーヒーの品質や生産性の向上がさらに進み、コーヒー産業に再び注目が集まりました。
持続可能な農業プログラムの主な内容
コーヒー農家に対して、持続可能な農業技術や農業生産の改善に関するトレーニングを提供しています。
具体的には、有機農法や省資源栽培などの技術や栽培管理の効率化などのノウハウを提供しています。
農業生産者が持続可能な農業を行うための資金を提供しています。
具体的には、有機肥料や環境に配慮した農機具の購入など、持続可能な農業に必要な設備や資材の購入費用を補助しています。
農業生産者が持続可能な農業を行うための市場アクセスを提供しています。
具体的には、スペシャリティコーヒーの認証機関や、持続可能なコーヒーの取引を行う企業との連携を促進しています。
持続可能な農業プログラムの成果
持続可能な農業技術の導入により、ペルー産コーヒーの品質は向上しています。
特に、有機農法や省資源栽培などの技術を導入することで、コーヒー豆の風味や香りがより豊かになり、酸味や苦味のバランスも良くなりました。
持続可能な農業を行うことで、ペルー産コーヒーの市場価値が高まっています。
スペシャリティコーヒーの認証を取得したコーヒー豆は、一般的なコーヒー豆よりも高値で取引されています。
持続可能な農業プログラムは、ペルーの農村地域経済発展にも貢献しています。
持続可能な農業を行うことで、コーヒー農家はより高い収益を得ることができ、生活水準の向上につながっています。
ペルー政府の持続可能な農業プログラムは、ペルー産コーヒー産業の発展に大きく貢献しています。
今後も、このプログラムを通じてペルー産コーヒーの品質や市場価値の向上が進むことが期待されています。
コーヒー生産量が世界第8位のペルーですが、国民一人当たりの年間コーヒー消費量は0.8kgで、コーヒー生産大国としては少なく、その消費量は世界50位に位置しています。
ちなみに日本国民の年間消費量が3.5kgなので、およそ1/4です。
ペルー国民のコーヒー消費量が少ない理由についてはいくつかの要因が考えられますが、コーヒー飲用の文化が根付いていない事もそのうちの1つです。
2016年の調査によると、ペルー国民のコーヒー消費量はラテンアメリカ諸国中で最下位でした。
ランキングトップのブラジルはペルーの17倍消費しています。
一方、紅茶の年間消費量はラテンアメリカ諸国中で第5位。
コーヒーランキングで1位のブラジルと比較すると、3倍以上紅茶を消費していることがわかりました。
インスタントコーヒーが最もポピュラーな飲み方であることを合わせて考えると、相対的にコーヒーを飲む習慣が少ないのかもしれません。