「毎朝、仕事前に飲む一杯が欠かせない」 「カフェで豆を選ぼうとするけれど、産地の名前を見てもピンとこない」
そんな風に感じたことはありませんか?私たちが何気なく楽しんでいるコーヒーの裏側には、地球の裏側からはるばる海を越えて届く壮大な物語があります。
今回は、世界のコーヒーを支える生産量ランキングTOP5をご紹介しながら、私たちが知っているようで知らない「作る人と飲む人」の意外な真実についてお話しします。
この記事を読み終える頃には、いつものコーヒーがもっと大切に、そして味わい深く感じられるはずですよ。
現在世界のコーヒー生産量を支えているトップ5は、ブラジル、ベトナム、コロンビア、インドネシア、エチオピアです。
なぜこの5か国が強いのか。その理由は、これらの国々が「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道直下の地帯に位置しており、コーヒー栽培に最適な「雨量・日照・土壌」という三拍子が揃っているからです。
世界で流通するコーヒーの約3分の1を占める絶対王者ブラジルを筆頭に、それぞれの国が独自の役割を担っています。
コーヒー豆生産量ランキングTOP5
- ブラジル:圧倒的な規模を誇る世界のコーヒー大国
- ベトナム:インスタントや缶コーヒーに欠かせないロブスタ種を多く生産
- コロンビア:アンデス山脈の標高が生む高品質なアラビカ豆の産地
- インドネシア:独特の「マンデリン」など、力強いコクが特徴
- エチオピア:コーヒー発祥の地。フルーティーで華やかな香り
ランキング上位の国々には、それぞれ大量生産を可能にしている背景と、独自の味の個性があります。
- ブラジル:広大な国土を活かし、機械を使った大規模な収穫を行うため、安定した価格と量を供給できます。
- ベトナム:1990年代から国を挙げてコーヒー栽培に注力しました。病気に強く、安価に栽培できる「ロブスタ種」が主力です。
- コロンビア:急峻な斜面での栽培が多いため、多くが人の手で丁寧に「手摘み」されています。
- インドネシア:多湿な気候に合わせた「スマトラ式」という特殊な精製方法が、唯一無二の深いコクを生み出します。
- エチオピア:現在も野生のコーヒーの木が森に自生しており、複雑で芳醇なワインのような香りが魅力です。
意外かもしれませんが、「コーヒーをたくさん作る国」が、必ずしも「コーヒーをたくさん飲む国」とは限りません。
その理由は、多くの生産国にとって、コーヒーは自国で楽しむ飲み物というよりも、外貨を稼ぐための大切な「輸出商品」という側面が強いからです。
実際に、生産量が多い国と1人あたりの消費量が多い国(飲む量が多い国)を比較してみると、その差は一目瞭然です。
| コーヒー生産国 | コーヒー消費国 | |
| 1 | ブラジル | スイス |
| 2 | ベトナム | ノルウェー |
| 3 | コロンビア | ブラジル |
| 4 | インドネシア | EU |
| 5 | エチオピア | コスタリカ |
コーヒー消費国で上位を占めるのは北欧諸国です。一方で、生産国であるベトナムやインドネシアなどの人々は、自分たちが作った最高級の豆を輸出に回し、自国ではお茶や別の飲み物を好む傾向があります。
さらに深く掘り下げると、ある切ない現実に突き当たります。
世界には「自分たちが育てたコーヒーを、一度も飲んだことがない」という生産者が大勢いるのです。
理由は非常にシンプルで、高品質な豆はすべて高い価格で取引される海外(日本や欧米)へ送られてしまい、現地の人々の手元には残らないからです。また、現地の賃金水準からすると、私たちがカフェで払う一杯の価格が、彼らの数日分の給料に相当することも珍しくありません。
これはコーヒーに限った話ではありません。カカオ豆の生産者が、人生で一度もチョコレートを食べたことがないという話もよく耳にします。私たちが当たり前のように享受している「美味しい一杯」は、こうした生産者の方々の労働条件よって支えられているのです。
最後に、今回の内容を振り返ってみましょう。
世界のコーヒーランキングを紐解くと、ブラジルやベトナムといった巨大な産地のパワーが見えてきます。しかし、その背後には「作る人」と「飲む人」の間に横たわる、大きな経済的なギャップがあることも事実です。
コーヒーをたくさん作っている国の農家の人たちが、実はその恩恵を十分に受けていなかったり、その味さえ知らなかったりする。そのことを知ると、目の前の一杯がどれほど貴重なものか、改めて気づかされます。
次にコーヒーを淹れるときは、ぜひパッケージに書かれた産地を確認してみてください。地球の裏側で、誰かが一粒ずつ丁寧に摘み取ってくれた物語を想像するだけで、いつものコーヒータイムがもっと優しく、深い味わいに変わるはずです。

